アロエの葉汁を火力乾燥すると黒褐色の固形エキスになるのですが、エジプト王朝時代にはすでに薬として用いられていたそうです。中国ではアロエの葉汁の固形エキスを「ろかい」の名で呼びますが、これは生薬名です。和名コダチロカイ(木立蘆かい)は「木のように立つろかい」という意味で名付けられました。
我が国の本草書である『本草網目啓蒙』(1803)には、固形エキスのろかいが南アフリカ南端の原産地からアラビアやペルシャ商人によって中国に運ばれ、江戸時代に日本に入ってきたことが記されています。アロエはもともと観賞用だったのですが、大正時代に薬の“ろかい”と同じ仲間であることが知られ、下剤や苦味健胃薬として使われるようになりました。
下剤として用いるのであれば、アロエの生葉をすりおろし、汁を盃一杯空腹時に飲んでください。健胃のためであれば盃半量を一日三回食後に飲むと良いでしょう。火傷に使うのであればアロエの葉の皮をむき、中のゼリー状の部分をはることをおすすめします。
アロエを薬用として使っている方のお声を2つご紹介します。
「火傷・歯痛・切り傷・神経痛にアロエの葉の汁をつけたり、薄片をはったりするが非常によく効く。風邪・腹痛・胃のもたれなど、生葉や生汁を少量飲ませる。なんにでも良く効く。」
「大小とりあわせて30株近くのアロエの鉢植えがある。市で買ったアロエを増やしたものだ。市販のものはボヤブトリで苦みも弱い。ひと夏からふた夏、太陽にガンガン当てて、油粕や配合肥料、水をしっかりくれる。冬は発泡スチロールの箱に入れて室内に入れる。家ではアロエの酢漬け、アロエ酒(ホワイトリカー35℃、1.8ℓにアロエを1キロ入れ、2~3ヶ月後にしぼる)2~3年たったものはまろみが出て味もソフト、色も琥珀色になる。風邪・咳・体調のくずれ・食べすぎ、飲みすぎいつでもアロエ(酒・酢づけ・生食)だ。家中で利用して10年。体調は大変良い。」
『佐渡薬草風土記』引用