『金沢村野生食用植物』(1834)という書籍には「アマドコロの根は蒸したり茹でたりして食べ、又飯を蒸らすとき上に乗せて蒸す。根は強壮薬。」と記されています。長野の山村では凶年に掘って食べ、凶年でなくても囲炉裏の土灰で焼いて食べ、根を煮詰めて甘味を採ったそうです。
赤いさやをかぶった太い筆のようなアマドコロの新芽がツイツイと出るのは春の彼岸の頃です。群生して出るから多く摘めます。海辺の村では特によく摘み食べました。
戸地や戸中という地域では「ゲンダイジノトウ」、北秋という地域では「アマドコロ」と呼びます。これらの海辺の村々ではトコロを茹でて、トトキの和え物、アマドコロのおひたし、ツクシを雛の節句に供えました。
戸地の人からアマドコロについてこのような話を聞きました。「赤いタケノコなって出てくるのが、ゲンダイジノトウ。子供のちんちんに似ているのでアカチンポ・アカチンチンとゆうた。日当たりの良い肥えたところのものは大きい。出花の5~10㎝くらいのを採る。茹でておひたし、ゴマ和えにもよくあう。花は生け花にしたが、白いスズランのような花が咲く。」
『佐渡山菜風土記』引用