ハハコグサは春の七草の一つで、その若葉は春の野で摘まれ食べられました。また、ハハコグサの別名である「ホウコグサ」という名は、ホウコ(這う幼い子)に食べさせる餅に混ぜたことに由来します。また、ハハコグサの古名を「オギョウ」と言います。
日本の平安時代に中国の風習を取り入れ、3月3日に母と子をかたどった人形を作り、川に流しお祓いをしました。この人形のことをオギョウ(御形)と呼びました。室町時代に入り、オギョウの主体は子に移り、子のオギョウを祭るひな祭りに変わっていきます。
子をかたどったオギョウといっても幼いホウコ(這う幼い子)が主体です。ホウコのオギョウ(人形)に備える餅や団子に混ぜた草をホウコやオギョウと呼びました。現在は草餅・草団子と言えばモチグサ(ヨモギ)ですが、ホウコグサの餅はヨモギよりも美味しいです。
ホウコグサの葉は痰を除き、体を整えると言います。ただ、ヨモギの方が大量に採れ、緑が濃く、香りが強いのでホウコグサにとって代わったのです。モチグサと言えばオギョウ(ホウコグサ)であったものが、名までヨモギにとられたということです。
なお、野草を生活に活かしている畑野町小倉という地域の中村さんは「ホウコグサはゆがくと味も一段と良くなる。ゴマ和え、マヨネーズ和えで美味しく食べられる。」とおっしゃっています。
『佐渡山菜風土記』引用