菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

イチヤクソウの特徴と薬効

イチヤクソウ

1.イチヤクソウとは

イチヤクソウの絵

イチヤクソウとはツツジ科イチヤクソウ属の多年草で、山野の林の下に生えます。佐渡島の山野でもよく見かけ、大佐渡の北岳のブナ林(海抜1000メートル)、乙和池のブナ・ミズナラ林(600メートル)、小佐渡の杉池(450メートル)の林床にも生えていました。生薬名は鹿諦草(ろくていそう)と言い、薬用部位は全草です。

楕円形の根生葉には長い柄があり、6月から7月にかけて20センチ前後の花茎の上に、総状に2〜3個の白花が咲きます。花径は15ミリくらいです。下向きに咲く花は品よく、山野草家の栽培したくなる花ですが、鉢植え栽培は難しいでしょう。それはイチヤクソウは菌根植物で毛根が発達せず、菌類と共生することによって栄養を得る植物だからです。

2.イチヤクソウの薬効

イチヤクソウにはアルブチンと呼ばれる配糖体が約1%含まれており、尿路の殺菌・消炎・利尿作用があると言われています。膀胱炎や尿道炎の薬とされ、泌尿器科で非常に多く使われています。また、イチヤクソウにはタンニンも含まれています。タンニンはタンパク質と結合して不溶性物質を作り、薄い皮膜を形成しますので、炎症やただれの痛みを和らげます。細菌に働き繁殖を抑え、小血管壁に直接に働き、止血するという数々のすぐれた薬効があります。

薬学専門家の伊沢凡人さんは「我が国のすぐれた民間薬の大部分はタンニンの効用を応用したものです。例えば、胃潰瘍にゲンノウショウコ、火傷にクリ渋、汗疹にモモの葉、尿道・膀胱炎にイチヤクソウはどれもタンニンの効用を利用しています。しかもタンニンには薬害・耐性菌問題の心配は一切ありません。」と言っています。

また、佐渡島の新穂村長畝という地域に住む村田さん(昭和6年生まれ)から「山の中で虫刺されや切り傷、止血に生葉の汁をつけるのが一番良く効く。」と聞きました。イチヤクソウの生葉を煎用すると肺病の特効薬と言われていますが、肺病に効いたという体験者と会ったことはまだありません。

中国ではイチヤクソウの全草を乾燥し、粉末状にしたものを避妊薬としています。『続薬草カラー図鑑』(1980)という書籍には「月経が始まった当日、空腹時に酒とともに10gを服用し、毎月1回ずつ4~5ヶ月連用した結果、70例の避妊実験のうち63例が成功したという報告がある。また茶がわりに飲むと月経が常に順調」とあります。

『佐渡薬草風土記』引用