菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

イノコズチの特徴と食べ方

イノコズチ

1.イノコズチとは

イノコズチとはヒユ科イノコズチ属の中型多年草です。夏から秋にかけて、茎の先や茎の脇に穂状の花序が付きます。花は淡緑色。小さな花を取り囲み三枚の苞があり、先が鋭い棘となっています。果実が熟す頃、棘が外側に反り返り衣服などに付きやすくなります。

遊んでいるとイノコズチの実だけでなく、ヌスビトハギ・キンミズヒキ・ヤブジラミなど服に付きまとわる実の共通の方言が「ばか」です。見境もなく、くっつくから“ばか”とさげすんだのでしょう。

和名のイノコズチは豕槌(いのこずち)の意味です。豕(いのこ)はイノシシ又はブタのことですが、イノシシを指すことの方が多いです。イノコズチの節高の茎がイノシシの膝頭のように見え、槌(つち)のように見えます。

漢名は牛膝(ごしつ)。節が高くなっているのを牛の膝頭に見立てた名です。節くれ立ったこの部分を子供の頃はゲンコツとかゴツンゴツンと呼んでいました。お互いに頭を叩きあって遊びましたが、これでゴツンとやられると実に痛かったです。

2.イノコズチの食べ方

イノコズチの絵

『佐渡嶋菜薬譜』(1736)という書籍には当時の糧葉のリストが載っており、「オオズチナ」の名があげられていますが、これは「大槌菜」の意味で、茎の節々が大きく槌状に膨れ上がっている菜とする植物、すなわちイノコズチのことです。

イノコヅチは戦時中も食用とされました。昭和十年代に偏された『金沢村野生食用植物』には「イノコズチ、ヒユ科。若葉をよく茹で十分水洗いにし、酸味を除き醤油等で味付け。」と記されています。

昭和五十年代になると佐渡島の野草や山菜の見直しが静かではあるがブームを起こします。『佐渡の野草・伝えたいふる里の味と知恵』(1981)が小倉婦人学級より発行されました。そこにはイノコズチについて以下のように記されています。

「イノコズチ、ヒユ科。道ばたや土手などに生えている雑草ですが、夏のほうれん草と言われるように、味もほうれん草に似て美味しく、おひたしや和え物に重宝である。特に夏の緑黄色野菜が不足の頃に喜ばれています。また天ぷらの材料にも良い。」

『佐渡山菜風土記』引用