イヌビユとはヒユ科イヌビユ属の小形の一年草です。ヒュー、ヒューナとも呼ばれます。畑や空き地などに広く見られますが、人里に限られ山地には生えません。花は淡緑色で小さく、花茎に穂状に連なります。葉の先は凹んでいます。
インド原産で、マレーや中国では今も広く葉菜として栽培されています。日本渡来は古く、10世紀以前。明治時代まではよく栽培されていましたが、今は日本各地でほとんど姿を消しました。
中国名ではシェンと言います。江戸末期に編纂された『佐渡志』(1816)には「シェン、和名ひゆ、方言ひゃう。馬歯見、方言すべりひゃう。2種とも路上自生なり。」と記録されています。
「シェン、和名ひゆ」の記録はまさしくヒユですが「路上自生なり」が問題です。畑に栽培されてなく、スベリヒユと同じように路上に自生する雑草としています。栽培していたヒユが野生化したとも考えられますが、現在佐渡島ではヒユの栽培はなく、「方言ひゃう」は和名ヒユではなく別種でしょう。
佐渡島で現在ヒョウの名前で呼ばれているものは、畑や道端に多いイヌビユという植物です。スベリヒユと同じく摘まれ食べられた野の菜です。このイヌビユはヒユとよく似ています。ヒユに比べ、イヌビユは根元から多数の茎が出て、ヒユの葉(長さ5〜12センチ)に比べ葉は小さく(1〜4センチ)、葉の先は凹んでいます。