菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

イヌビユの特徴と食べ方

イヌビユ

[目次]
 1.イヌビユとは
 2.イヌビユの食べ方

1.イヌビユとは

イヌビユとはヒユ科イヌビユ属の小形の一年草です。ヒュー、ヒューナとも呼ばれます。畑や空き地などに広く見られますが、人里に限られ山地には生えません。花は淡緑色で小さく、花茎に穂状に連なります。葉の先は凹んでいます。

インド原産で、マレーや中国では今も広く葉菜として栽培されています。日本渡来は古く、10世紀以前。明治時代まではよく栽培されていましたが、今は日本各地でほとんど姿を消しました。

中国名ではシェンと言います。江戸末期に編纂された『佐渡志』(1816)には「シェン、和名ひゆ、方言ひゃう。馬歯見、方言すべりひゃう。2種とも路上自生なり。」と記録されています。

「シェン、和名ひゆ」の記録はまさしくヒユですが「路上自生なり」が問題です。畑に栽培されてなく、スベリヒユと同じように路上に自生する雑草としています。栽培していたヒユが野生化したとも考えられますが、現在佐渡島ではヒユの栽培はなく、「方言ひゃう」は和名ヒユではなく別種でしょう。

佐渡島で現在ヒョウの名前で呼ばれているものは、畑や道端に多いイヌビユという植物です。スベリヒユと同じく摘まれ食べられた野の菜です。このイヌビユはヒユとよく似ています。ヒユに比べ、イヌビユは根元から多数の茎が出て、ヒユの葉(長さ5〜12センチ)に比べ葉は小さく(1〜4センチ)、葉の先は凹んでいます。

2.イヌビユの食べ方

イヌビユの絵

イヌビユの全草は食べられます。葉のゴマ和えはお盆のご馳走です。くせがなく、どんな食べ方でもできますが、もっぱらゴマ和えとしました。夏の炎天下の畑にはびこるスベリヒユとヒョウ(イヌビユ)。夏の暑気をとる菜としてせっせと食べられました。

またお盆の仏の馳走として、ゴマ和えにして供えるものとされました。「仏になって盆が来ても、わが娘がいなければ、ヒョウのゴマ和えが食べられん。」の伝承が佐渡島の村々にあります。ヒョウを指す村もあり、スベリヒユを指す村もあります。ヒョウとスベリヒユは人々の暮らしと共に長いこと深いかかわりのあった野の菜です。庶民の菜でした。

『佐渡山菜風土記』引用