菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

イチョウ(銀杏)の特徴と効能

イチョウ

[目次]
 1.イチョウとは
 2.イチョウの効能

1.イチョウとは

大銀杏

イチョウとはイチョウ科イチョウ属の落葉高木です。中国原産で仏教伝来と共に渡来したのではないかと言われています。雄雌異株の植栽種で、薬用部は種子、生薬名は銀杏(ぎんきょう)です。佐渡島ではイチョウが植えられた寺が多く、中でも「新穂村野にある清水寺の大イチョウ」と「小木町小比叡にある蓮華峰寺の大イチョウ」は有名です。昔から「乳イチョウ」として女性の信仰の対象となっており、幹の一部に栄養がたまり乳房のように垂れていますが、いずれも雄株です。

寺の境内の大イチョウは鮮烈な黄葉で、秋光に輝く時、黄金の光を放ち、黄金仏の万羅荼とも思える世界が眼下に広がるようです。黄葉を仰ぎつつ「死は亡びではない。黄泉への旅立ちである。」とふと思いました。

『佐渡志』(1816)という書籍に「銀杏。和名ちちのき、方言いちょう。実をぎんなんと去う。樹に雄雌あり。実を結ぶものは大野村のあたりに多し。」とあります。ギンナン(銀杏)は実の核が銀白色で杏のようであることから名づけられました。煎って食べるギンナンは実に美味しいです。

2.イチョウの効能

イチョウの絵

佐渡島では昔からギンナンの種子を煎って食べると小便をとどめ、寝小便を治すとされてきました。また、ギンナンを焼いて食べると去痰の作用があると言われています。ただし、食べ過ぎてはいけません。ギンナンを30粒食べた2歳児が死亡し、9歳児は中毒を起こしたという報告があります。

『佐渡に於ける薬草』(1934)という書籍には「イチョウの葉の煮汁はアカギレに効く。ウオノメには葉の黒焼きにして飯で練って貼ると直ちにとれる。また、銀杏の黒焼きを飯で練ってごま油で少し軟らかくして紙に伸べて貼ると凍傷によく、腫物の散らし薬として奇妙に効く。」と記されています。

昭和60年代にイチョウの葉から高血圧治療薬が作られるようになりました。ドイツとフランスの製薬会社が日本産のイチョウの葉からフラボノイドを抽出し、血管調整剤を製品化したのです。フラボノイドのギンクゲチンを含むことは従来から知られていたのですが、血管拡張の薬理作用があることはわかっていませんでした。

昭和60年に佐渡薬用植物栽培組合が設立され、イチョウの乾燥葉を出荷しましたが、加入戸数はおよそ100戸。一戸あたりの収入金は年あたり15〜20万円です。組合長の両津市長江という地域の矢田さんはこのように話しています。

「イチョウはヨーロッパ国土に適さず日本の風土に適する。成分フラボノイドは血管の老化を防ぐとされる。私も“銀杏樹”の保健錠剤をのんでいる。先々一日がかりの登山をしたが、その日も次の日も足が全然痛くならない。イチョウ薬の常用者は共通して足が痛くならない。面白い薬効があるものだ。」

『佐渡薬草風土記』引用