菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

カワラヨモギの特徴と効能

カワラヨモギ

1.カワラヨモギとは

カワラヨモギとはキク科ヨモギ属の多年草です。河原に生えるヨモギという意味でカワラヨモギと名付けられました。海岸の砂丘地の素浜に生えています。佐渡島では素浜砂丘で見かけます。

砂丘に西に位置する羽茂町の村人は「砂の積む(堆積する)ところにハママツ(カワラヨモギ)とボウフウ(ハマボウフウ)がある。」と言います。なお、カワラヨモギは佐渡島の方言でハママツやハマスギと呼びます。

カワラヨモギは砂が溜まり砂におおわれても、上向きに枝を伸ばし砂の上に出ます。堆砂にびくともしない反応茎を持つカワラヨモギは、典型的な砂丘植物です。茎葉は緑色の羽状葉、花は黄色の筒状花の花穂です。

春の根出芽は白い絹毛におおわれているのですが、夏になると根出葉が枯れ、絹毛とは別の緑の細い羽状葉となり砂丘に立ちます。緑の羽状葉は高さ30〜40センチ。方言ハママツ(浜松)はまさにそのものずばりの方言です。

2.カワラヨモギの効能

カワラヨモギの絵

カワラヨモギの薬用部位は花穂、生薬名は茵蔯蒿(いんちんこう)です。絹毛の根生葉が冬にも枯れず、春先になると新しい葉や茎が伸びるので、「古い(蔯)苗がもと(茵)になって、新しいヨモギ(蒿)が出てくる」の意味で茵蔯蒿と名付けられました。

『新潟県の薬草』(1987)という書籍には「消炎性の利胆剤で、黄疸の代用的な薬草。肝炎・胆のう炎にも用いる。」と記されています。中国の医薬古典の『神農本草経』には「風湿・感熱・邪気・黄疸を治す。久服・軽身・益気・耐老。」という記載があり、黄疸を治し、気満たし、歳老いずの貴薬とされました。

佐渡新穂の漢方医の『本間黙斉家医本に載る薬穂』(1754〜1829)に「茵蔯、カワラヨモギの事也。」とあり、当時漢方処方に使われたことがわかります。

『佐渡志』(1816)には「茵蔯蒿、方言カハヨモギ。加茂群海浜に生ずるもの薬用に供し効あり。」とあります。また「通名ハマスギ、和名カワラヨモギ(肝ぞう)」の文章も残っています。

薬効成分は精油分のジメチルエスクレチンで果実に多く含まれています。生体実験で明らかに胆嚢の機能が活性化し、胆汁の分泌が増加しました。単味でも良いのですが、カワラヨモギは漢方処方される漢方薬種であり、茵蔯蒿湯として用いられると治る効果があります。

1日分は茵蔯蒿(乾燥花穂4グラム)、山梔子(クチナシの果実)3グラム。大黄(ダイオウの根茎)1グラムの煎液。薬局で売られています。カタル性黄疸の初期によく用いられます。口渇・尿量少なく・便秘がちの人、蕁麻疹・口内炎などにも良いです。

また、濃い煎液はインキン・タムシ・シラクモなどの糸状菌に対して制菌作用があります。肝炎で入院した知人が入院見舞いに頂いた薬茶が「茵蔯蒿湯」であった話をしていました。肝機能が低下すると皮膚がかゆくなります。濃い煎じ液でかゆい部分を洗うと良く効くとの話も聞きました。

『佐渡薬草風土記』引用