菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

キキョウ(桔梗)の特徴と効能

キキョウ

[目次]
 1.キキョウとは
 2.キキョウの効能

1.キキョウとは

キキョウの絵

キキョウとはキキョウ科キキョウ属の多年草です。山野の陽地に生えています。花は枝の上部に青紫色鐘形、5裂の美花。白花もあり、一重も二重もあります。秋の七草のひとつであるキキョウ。和名キキョウは漢名の「桔梗」の音読みです。古くはこれをキチコウとも呼びました。

山上憶良は秋の七草を『万葉集』(759)で次のように詠んでいます。「秋の野に咲きたる花を指折りてかき数ふれば7種の花」。この歌の対句として「萩の花(ハギ)尾花(オバナ)葛花(クズ)嬰麦の花(ナデシコ)女郎花(オミナエシ)また藤袴(フジバカマ)朝顔の花」。

カッコ内は現在の和名です。歌に詠まれている“朝顔の花”は古来のアサガオ・ヒルガオ・ムクゲ・キキョウなどの諸説がなされましたが、最終的にはキキョウに決まったようです。

この20年、佐渡島の山野でこれが自生というキキョウ群落にほとんど出会いません。ただ墓場などには群生をよく見かけます。盆花で墓前に供えたものが増えたものを、墓掃除のとき刈り残したものです。

『佐渡志』(1816)という書籍に「桔梗数種あり。花或いは紫に或いは白く単なるあり、複なるあり。北山の下に生ずるもの紫の一重にして薬となすに佳なり。羽茂郡小木町より小木村に越る路の傍に多くあり、花の盛殊に観つへし。」と記されています。

野生のキキョウは紫の一重であり、北山(金北山)のしたのものも小木岬のものもこれです。キキョウの園芸種は江戸時代に多く作られましたが、シロバナギキョウ(白・単)はその代表種であり、シロフタエキキョウ(白・複)フタエギキョウ(紫・複)などがあります。

2.キキョウの効能

キキョウの蕾

キキョウの薬用部位は根、生薬名は桔梗根(ききょうこん)です。『新潟県の薬草』(1987)という書籍によれば「痰切り・排膿に効があり、咳・痰・喉の痛み・ニキビ・腫れ物に用いる。」と記されています。

なお、キキョウの漢名「桔梗」は花に付けられた名ではなく“根が結実して梗直になる”という意味で根に付けられた名です。

『佐渡志』(1816)という書籍に「北山の下に生ずるもの紫の一重にして“薬となす”に佳なり」とあるように、3年目から5年目の根を秋掘り、水洗いして日光に乾かして薬にします。これが生薬の桔梗根(ききょうこん)です。

桔梗根はサポニンを含み、痰を伴う咳・化膿性のはれもの・扁桃などののどの痛みに効く漢方薬です。当時村人たちは薬用桔梗根を掘っていました。経済大国になった現今、山野の桔梗根を掘る人はなく、我が国市販の大部分は韓国や中国の輸入品です。

『佐渡薬草風土記』引用