菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

ノビルの特徴と食べ方

ノビル

[目次]
 1.ノビルとは
 2.ノビルの食べ方

1.ノビルとは

ノビルの絵

ノビルとはヒガンバナ科ネギ亜科ネギ属のやや小形の多年草です。花は白紫色で全草の匂いが強いです。人里に生えたり、海岸にアサツキなどと群生したりします。匂いの強い刺激性のある五種の野菜を五辛(ごしん)というのですが、ノビルは五辛の一つです。なお、他の五辛はネギ・にら・らっきょう・ニンニクです。

五辛の中で栽培されず野生しているものはノビルだけなのですが、最も古い時代から広く庶民に食べられています。ノビルは“野に生えるヒル”の意味で、ヒルは噛めばヒリヒリと口を刺激するのでノビルと名付けられました。佐渡島ではノビルの呼び名以外にノビリ・ヒル・ヒルノミ・ヒルボンボウと呼ばれます。

2.ノビルの食べ方

ノビルと味噌

ノビルのピリッとした辛味を生かすには味噌をつけての生食が最高です。アサツキよりも味も香りも濃厚で、舌ざわりもザラーとしていて野生的です。ノビルと鯛(たい)の酢味噌和え、ゴマ和えも美味しいです。

佐渡島の旧赤泊地区には「山田のヒルノミ・腰細の腐れ塩辛・莚場の砂香煎(こうせん)」という昔からの言い伝えがあります。お互いの村の食生活の貧しさをからかった内容なのですが、ヒルノミ(ノビル)をビタミンやミネラル源としての香煎と同じように捉えていることを示しています。

入院しているおばあちゃんにノビルを摘んで毎日届けたという話も聞きました。ノビルには薬効があり、全草を煎じて飲むと血を補い睡眠を良くします。打ち身には根茎を擦りおろしたものを麦粉と練り合わせて塗ります。毒虫に刺された時に根茎を擦り潰して塗ると効くと言われています。

『佐渡山菜風土記』引用