菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

タビラコ(田平子)の特徴

タビラコ

1.タビラコとは

佛の座

タビラコとはキク科タビラコ属の小形越年草です。早春より田面に多く見られます。田平子と書きますが、“田に平べったく生えてかわいい若菜(子)”の意味です。昔はロゼット葉を佛の座る円座に見立てて「ホトケノザ」と呼ばれていました。稲渡来時の随伴植物で史前帰化植物です。

佐渡島に自生するタビラコは二種あります。大形のものがオニタビラコ、小形のものがタビラコ(別名コタビラコ・コオニタビラコ)ですが、両種を区別せずどちらもタビラコと呼びます。なお、いずれも食べられます。

ただ、多く目につくのはオニタビラコです。4月に入るとオニタビラオは根生葉の中心の花茎がぐんぐん伸びて紫色の蕾をいっぱいつけます。初夏の光の中でその黄金花はまばゆく輝きます。

石佛の研究をされている祝勇吉氏(当時72歳)にお会いした際、「オニタビラコのそれぞれの花茎に配置される黄金花は、まさに黄金百佛、佛さまのいらっしゃる“佛の座”でありましょう。」と教えられました。佛の座は春のロゼット葉を佛のお座りになる蓮華の座とされた名です。そして黄金花群れ咲けば、黄金の百佛の安座の場をも意味する名でもあります。

2.タビラコは春の七草の一つ

タビラコの絵

タビラコは春の七草の一つで、若い根生葉は食用です。『佐渡志』(1816)という書籍には「鶏腸草、和名たびらこ。正月七草の粥にともす。」と記されています。鶏腸草はカワラケナと読み、無毛の菜の意味です。

また、七草粥だけでなく、春に摘まれ菜とされました。昭和10年代に金沢村中興の坂田よしさんによって偏された『金沢村野生食用植物』という書籍には「オニタビラコ、菊科、若菜ヲ茹デテ菜カワリニスル。」と記されています。

なお、江戸時代の佐渡島の賊民の薬種や菜糧(なかて)のリストである『佐渡嶋菜薬譜』(1736)には菜として食べた野の草が多く名を連ねています。セリ・ハコベ・ナズナ・タビラコ。クチナはタンポポの若葉、ボヤジはノゲシの若菜、ヨメナはノコンギクの若葉、カヤムグリはコウゾリナの若葉であり、その数は100を超えます。

『佐渡山菜風土記』引用