菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

タネツケバナの特徴と食べ方

タネツケバナ

1.タネツケバナとは

タネツケバナの絵

タネツケバナとはアブラナ科タネツケバ属の小形越年生草本です。田んぼや水辺湿地に広く群生しています。春に白色の小形十字花を咲かせます。花序は総状で葉は羽状に裂け、頂小葉は下の小葉よりも大きいです。

稲の種籾を水に漬ける頃、盛んに咲くので「種漬花(タネツケバナ)」という名が付けられました。その開花が種籾を水に漬ける目安とした農事花なのですが、佐渡島ではこのような目安にしなかったようです。

佐渡島では大佐渡の金北山(1172m)の山肌の雪が溶けて、黒い岩肌が現れて“種まき猿”の形になるのを種まきの目安としました。例年、およそ4月上旬の頃です。この頃になると田植え前の田にタネツケバナが花盛り、白色の小さい十字状の花が田の面を覆います。4月の下旬にはもうサヤになります。

2.タネツケバナの食べ方

オオバタネツケバナ

佐渡島ではタネツケバナを「ダガラシ(田芥子)」または「カラシグサ(芥子草)と呼びます。“田に生える芥子草”の意味なのですが、辛みがあり美味しいです。『金沢村野生食用植物』という書籍には「タネツケバナ・十字花科・若葉及ビ根ヲ塩デモミ、酢・醤油二浸シ和物ニ混ゼ又茹デテ菜トスル。辛味料トモサレル。」と記されています。

また、明治18年に越後の江本清弥の著した『救荒要録』(1885)に「水芥菜(タダイコン)水に浸し辛気を去り食ふ」とあるのはタネツケバナのことです。なお、山の水湿地には大型のオオバタネツケバナ(別名ヤマタネツケバナ)も生えていますが、タネツケバナよりも美味しいです。

『佐渡山菜風土記』引用