タンポポとはキク科タンポポ属の中形多年草です。在来種はエゾタンポポで北方系です。薬種栽培した南方系の白花タンポポは逸出し、野生しています。田んぼの畦にたくさん自生している帰化植物のセイヨウタンポポやアカミタンポポは在来種を駆逐して繁茂しました。
佐渡島ではタンポポの若葉を「グチグチナ」や「グチナ」と呼んでいます。ナ(菜)と付くのは摘んで食べられたからです。『佐渡志』(1816)という書籍には「蒲公英、通名タンポポ、方言グチグチナ。原野路上に甚多し。賊民採りて菜とす。」と記されています。
信濃では食べられる若菜のことを「グシナ」と呼び、花が咲くとタンポポになります。グシナ・グチナはおそらく“苦汁菜”または“苦地菜”と書くのでしょう。菜のほろ苦みがタンポポの味で、消化を助け食欲を増します。