野草料理研究家の甘糟幸子さんは「つくしの簡単な食べ方は、フライパンにごま油を熱し、つくしをいれてしんなりするまでかきまぜ、酢醤油をさして、もう一、二度かき混ぜたらこれで終わり。熱いご飯によく酒の肴にもなる。」とおっしゃっています。
佐渡島の戸地という集落に住む大辻タマさん(明治42年生まれ)は幼い頃に友達とみんなでつくしを摘みよく食べたと話してくれました。「摘んだツクシいっぱい手にもって、アタマをとって一節食うてはハカマを口でべーと捨てて、また一節食う。水っぽく甘みがあってうまかった。シラバ(草刈り場)でとった。ムギノママ(アマナの球根)を生で食べる時期、3月の終わりから4月にかけての頃」と。
また、小倉婦人学級の山菜料理を指導した生活改良普及員の北見秀子さんは「つくしの酢の物は春味満点でおいしい。水5カップに大さじ三杯の酢を加えたなかでさっとゆで、酢2、だし汁3、しょうゆ3で調味する。」とおっしゃっていました。
つくしはアタマに緑の胞子が出来始めると苦味が出ます。そのため、若いものを摘み取ってアタマとハカマをむきとって料理すると良いでしょう。菜とし糧(かて)のものとしてのつくしは遠い昔。つくし飯は今や風味あるご馳走となった時代です。
『佐渡山菜風土記』引用