[目次]
1.ウスバサイシンとは
2.ウスバサイシンの効能
ウスバサイシンは佐渡薬種24品の一つで、生薬名は細辛(さいしん)です。7〜9月頃にウスバサイシンの根茎を掘り、水洗いしたものが細辛なのですが、根が細かく辛味があることから細辛と名付けられました。
細辛は咳を止め、痰を去り、鎮静・鎮痛・解熱などに薬効がある漢方薬です。口内炎や口臭には葉3〜5枚の煎液でうがいをすると良いでしょう。
上野巳之吉さんの『佐渡に於ける薬草』(1934)という書籍には「感冒にかかった時、この根を煎じて飲むと解熱剤になり、また頭痛・脳痛にはこの根とタニシの肉と摺り合わせて食すれば特効がある。葉の煎汁でうがいをすると口中の臭気を去る妙効もある。」と記されています。
伊沢一男博士の『薬草カラー図鑑』(1979)という書籍には「口の中のただれや荒れに確実に効く療法として、細辛の粉末を酢の少量を加えて練り、大豆粒の大きさにして毎晩寝る前にへその穴に詰め、上から軽く絆創膏で押さえておく。さらに細辛の粉末と黄連の粉末各1gを混ぜたものを1回として1日3回服用する。」と記されています。
佐渡島での細辛の最初の記録は『延喜式』(927撰進)の雑薬の記録文章にあります。黄蓮15斤10両・藍漆(やまあさ)25斤・山椒(なるのはじかみ・サンショウ)48斤等と共に細辛が薬種として献上されていたのです。
江戸幕府による本格的な薬種の全国的な調査が始められたのは享保5年(1720)のことです。このとき定められた佐渡薬種24品に細辛も挙げられています。『佐渡志』(1816)という書籍に「細辛、山中に多し。採りて薬に売るに他邦の産に勝れり。」と記されています。当時、佐渡島の細辛は市場で全国的に有名であったことがわかります。
『佐渡薬草風土記』引用