菊池はるみ執筆[佐渡島の野草研究家]

ウツボグサの特徴と効能

ウツボグサ

[目次]
 1.ウツボグサとは
 2.ウツボグサの効能

1.ウツボグサとは

靭

ウツボグサとはシソ科ウツボグサ属の多年草です。山野の陽地草原に生えます。6月になると花が咲くのですが、紫色の唇形花を密生させる花穂の姿が靭(うつぼ)に似ていることから靭草(ウツボグサ)と名付けられました。

なお、靭とは武士が矢を持って背負うカゴのことで、時に毛皮をつけて矢が雨に濡れるのを防いだそうです。

春の美しい紫色の花穂は夏に入ると黒褐色に変わります。美しい花穂であったが故にその変わりようは異様ですが、花の黒変ではありません。花はほとんど落ちて、花を包んでいた包みが変わったのです。重なるように付くつつみの集まり、つつみ穂の黒変です。夏枯れて黒変することから、ウツボグサの生薬名は「夏枯草(カコソウ)」と言います。

『佐渡志』(1816)という書籍の草類の項にウツボグサについて「夏枯草。和名うるき、方言すいばな、山野の自生のものあり。」と記されています。和名“うるき”とありますが、うるきはウツボグサの古名です。方言“すいばな”は吸い花のことで、佐渡島の子にとってはチチスイバナ、スイスイバナと呼ぶ蜜吸花です。なお、羽茂町岩野という地域では、夏枯れの穂を猫の糞に見立てて「ネコノクソ花」と呼んでいます。

2.ウツボグサの効能

夏枯草

ウツボグサの花穂を採集し日干しにしたのが生薬「夏枯草」です。佐渡島では穂だけではなく全草も採集し日干しにして薬にします。風邪気味で気分のすぐれないとき、小便心地が悪いとき、暑気あたりに煎じて飲みます。なんと言っても女性に欠かせない薬草、子宮病などの婦人病に非常に効きます。

『佐渡に於ける薬草』(1934)という書籍には「花の煎汁は利尿剤となり消渇を治す。また茎と共に煎用すると子宮病に起因する白帯下に特効がある。」と記されています。口内炎・扁桃炎のときに煎汁でうがいをするのもおすすめです。

『佐渡薬草風土記』引用